カルス・・・
植物が傷害ストレスを受けた時に、その傷害ストレスによって傷口に発現し、傷口を覆う細胞の塊。癒傷組織ともいう。
カルスは脱分化(特定の機能を持った細胞が、再び何かの細胞に分化する能力=全能性を獲得した状態)した細胞の塊であり、植物はこのカルスの機能によって強力な再生能力を得ている。
そのため、どんなに枝を切られてもまた新芽を出したり、挿し木による農法が可能となる。
カルスのはじまり・・・
オフィス上の空さんから指定のあった舞台美術は「駅」。
それも自動改札のない駅。
現代劇で考えるなら、なかなか田舎の設定が必要です。
フムどうしようかな、と私が常日頃書きためている「こんな人書きたいリスト」を眺めると、植物学者という文字が目につきました。
田舎に採集に来た、植物学者。
うん、なんか面白くなりそう。
で、植物学者や植物について調べました。
その中でひときわ興味深かったのが、植物が持つ再生能力でした。
植木屋さんの仕事を当たり前のように思ってたけど、どうやら植物ってのは傷ついたらそこを何にでもなれる状態に戻してブリブリ再生していくらしい。すげえなオイ。
そして植物はストレス過多な環境にいても、逃げ出せるでもなく、エアコンつけられるでもなく、周りにブチギレて扱いを良くさせられるでもなく、ただひたすら自分を変えることでしか対応できないんだと。だから再生能力を高めていったんじゃないかと。
これも当たり前のように思ってたけど、確かにあいつら、陽が当たらない場所に植えられたからって「何してくれてんのよ!最悪よ!もうお別れだわね!キー!」って夜のうちに鉢植えから逃走、とかできません。
だから「何してくれてんのよ!最悪よ!でもここで生きる!再生!葉っぱでかくする!ウガー!」ってなる。
とんでもなく不自由だけど、その代わりに無敵の再生能力や多様性を身につけた植物たち。
そこに思いを馳せながら世の中を見渡せば、人間もストレス過多な環境でヒイヒイ言って傷ついたり傷つけたりしている訳で、人間にもカルスがあればいいのにな〜なんて思いながらお話が出来ていきました。
その過程で、「なんかノーベル賞とったすごい細胞」としか思っていなかったiPS細胞や、「あります!」と宣言した形相しか印象になかったSTAP細胞のことも知りました。
ものすごく雑にいうと、人間の細胞も手を加えれば脱分化できるらしいです。
なるほどね。不老不死につながるわけで、そりゃ大騒ぎにもなるわけだわ。
…あの人、まだ割烹着着てるのカナ…
しかし人間がストレスで受けた心のほうの傷はたとえSTAP細胞があったとしても治るものではありません。
それで自分から枯れることを選んでしまう人もいたりする。
人間って、植物よりも圧倒的に弱っちいな。
「カルス」は、そんな弱っちい人たちが出会い、ぶつかりあったり仲良くなったりまたぶつかったりしてぎゃあぎゃあ言いながら、必死こいて再生しようとするお話です。
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